ペルシャ文明展
ギリシアのお勉強が進まない内に、次のネタを仕入れちゃいましたよ。また宿題が増えちゃって、もう。でも大変興味深かったし、こちらもしばらく調べ物する予定です。
The Glory of Persia ペルシャ文明展
煌めく7000年の至宝
東京都美術館 企画展示室
http://www.asahi.com/persia/index.html
まず、始めに。メソポタミアと区別がついていませんでした、反省。
今後テーマ別に、色々とまとめたい部分などもあるのですが、まずは全体の印象総括として書いておこうかと。
水に恵まれて農耕が盛んだったメソポタミアに対して、その東方、石材や木材、金属資源などに恵まれた代わりに、世界有数の乾燥地帯という厳しい気候のイラン高原。この場所の起こった古代ペルシャ(現在のイラン)がこの展覧会の舞台です。
紀元前5000年期から600年代までの展示品、そして例によってお土産物コーナーがあったりしますので、実に現代まで7000年に渡る一つの国の文化の歴史が一度に見られるというのは、なかなか無いと思います。
そしてさらに凄いのは、その想像するのさえ難しい時間の長さをを飛び越えて、7000年前の大型土器に描かれたデザインと現代のそれが、確かに繋がっている、ということかもしれません。同じ匂いがする、とでも言うんでしょうかね。紀元前5000年期の彩文土器に描かれた角のある牛と思われる絵が、紀元前1500年期には立体になって登場するのですが、それは確かに「同じ」に見えるのです。でもその間には、何千年もの時間が横たわっている。世代に換算すると、人生50年で割り算しても、ええと、70代目ですかね。うわー。
そして現代の私たちが眼にするモチーフの原型と思われるものが、あちこちに見受けられてそれも驚き。動物の絵が多いのは当然として、どの動物にも翼が生えてたりするんですけど、これがきっと天使の原型なんだろうなあ。そして、翼のある山羊の姿も…悪魔?
しかもデザイン的にもとても完成度が高く、洗練されてて綺麗なんですよ。工芸技術も素晴らしい。オレンジ色のカーネリアンに、薬品加工で線画を描いたビーズが、紀元前3000年期のものでどびっくり。薬草を用いた腐蝕加工とありましたが、その線画の細かさも正確さも、カーネリアンの研磨加工も恐ろしくレベルが高かったです。あの技術は現存してないのかしら。
むしろ紀元前300年ごろ、アレクサンドロスの東方遠征以後の方が、デザインの技術は低下しているような印象を受けました。やはり異文化の流入とは、ある意味で創造であり、そして同時に破壊なのでしょう。文化の完成度という意味においては、一つの方向性を極める、つまり純化が必要なんだろうなと。
さて、歴史とかモチーフとか、テーマ別をぼちぼちと追っかけて行きたいですが。いやー、奥が深過ぎて、迷子になりそう。
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コメント
>おんちさま
あのビーズきれいでしたね~。巨大彫刻の石材加工も、金属加工の技術水準もびっくりでしたし。
そういえばギリシア展を見に行った時、ずば抜けてレベルの高い青銅のニケがあって、大理石がほとんどの中で金属製の彫像はちょっと異色な感じがしたんですけど、もしかしてこの辺りの技術だったのかも。翼のデザインが綺麗だったんですよ~。
投稿: あぎ | 2006年9月25日 (月) 09:55
メソポタミアはイラクでしたね。私も反省しきり。(汗;;
カーネリアンのビーズには感動しました。こういう技術は、もしかしたら現代の方が退化しているかもしれない、と思います。
それこそ世界中で異文化同士が流入した、混沌の現代。「文化」の質が違うかもしれませんが。
投稿: 灰色猫のミミ | 2006年9月24日 (日) 21:32